死を選ぶ前に
未だにこの判断が正しかったのか、悩む、苦しむ、悔やむ。そして何をするべきかと後ろをふと振り返ると二組の親子が子供の顔を抑え硬直している。親は動転していて子の顔を抑えてるその手が何も意味をなさず子供が凝視してしまっていることに気付いていない。せっかくの夏休みなのにと私は痛みを感じ親に向かって「はやく(ここから出て)行った方がいい」とかろうじて言った。小学校低学年くらいだったと思う。せっかくの夏休みなのに、今日は楽しい一日を期待してたろうに、心の傷になるのではと思うとずきずきした。学生の頃あることで警察に事情を説明しなければならず朝から署でまたされ、ほんの三十分話し、解放されたのは夜だった経験があったからこの親子にそんな思いをさせたくないという気持ちもあった。
まだ硬直している母親達に両手で、いけ、いけ、とゼスチャーするとやっと子供の手を引いて歩き出した。
この時まで私はまだ事故だ、と思っていた。子供の顔をみた直後から自殺か、と考えだした気がする。
その後は私は人を呼びに無駄に階段を駆け上がったりしながら救急隊が一秒でもはやく来ることを願ってた。あぁ、書き切れない。