死を選ぶ前に
傷を負うのはあなただけではない、ということをもう一度考えて欲しい。
またこの夏、自殺と隣あわせになった。書くまい、と思ったけど自分を叱責しながら敢えて書く。
その朝私たちは一仕事終え控え室に戻ろうと作業の片付けをしていた。私の後方頭上で、がさ、と音がした。場所はあるビルの吹き抜けの最下層に私は座っていた。
その音の直後今度は人の絞りだされるような声とともに叩きつけられるような音が私の真後ろでおこった。振り返るとうつぶせに人が倒れている。そしてゆっくりと上半身だけ天井を向いた。これ以上詳細は今は書きたくない。
私はそのまま硬直しその場で動けなくなってしまった。それが数秒なのか数分だったかはわからない。
頭で色んな考えがぐるぐるまわり、とりあえず、救急車よべ、と誰にもとつかず怒鳴った。もう一度同じ事をこんどは一緒に作業していた相方に叫んだ。そして私はまた固まってしまい、心マッサージするべきかを考えた。落ちた人はさっきの体勢のままぴくりともしない、そしてじわりとどこからかニジみだす血。それを見て下手にさわると内臓や心臓に折れた骨が刺さるのではと素人判断した。