つかってはいけない日本語
もう一月たってしまった。
病院で「ピコーン、ピコーン」という音を聞きながら私と兄弟、母が待っているものは実はその音が止まることだというのは数時間で気づかされた。
おととしくらいから私の友人の父が相次いで亡くなり、そのときから気づかされていたのはめったなことで使ってはいけない日本語がある、と言うことだった。
友人に葬儀の席であったときにどうしても「ご愁傷様でした」と言えないのだ。
普段から漫画や自分自身おどけて軽くこの言葉を使っていたからだ。
まさか私自身がこの言葉を貰う立場になるとは思いもしなかったけど、私の友人たちもこの大切な言葉をつかえなかった。
私同様、友人たちも私の上腕を軽くたたきボーっと突っ立ってしまうのだ。
それだけで私は十分嬉しかったけど
事のあった後はお世話になった方に挨拶しなければならない。その方々でも(はるかに私より年上の方々でさえ)その言葉を使えた人は一人だった。
その人はやはり普段からその言葉を滅多なことに使わないように生きているのだろうと思った。
そして私自身5年、10年かかるかもしれないがその言葉をきちんと言えるようになりたいと、大切な日本語があるのだと本当に身にしみているのでした。